FLASHが有害図書に指定、これは景気浮揚策か [出版]

雑誌FLASHが東京都から有害図書に指定された、理由は折りこみの過去のAVのアンソロジーDVDだ、と言う話です。

反論もしませんし、同調もしません。今の時代にその話、おかしいと思いませんか。

表現の自由とかそういう話ではありません。
FLASHというのは、ゴシップを伝えるという媒体ですし、有害図書といえばもともとそういう言いがかりをつけられる可能性はある存在でした

ときに数十年前以前だったら「わいせつ」という概念は割合明確にありました。でも仮想概念です。
ヌード写真でちょっと何かが見えたとかそれで騒ぎになったころはあって、観光地にいくと、何か人生踏み外したようなおじさんが封筒に入った写真をこっそり売りつけていたものです。
それを買ったやつに見せてもらいたくて修学旅行の男子学生たちがこそこそと相談ごとをしているとか。

隠すからそれを見ようとすると背徳的な気分になり、そこに「わいせつ」というイメージがつきまとったわけです。

ビニール本というものがあって、やがて自販機本になったのですけど、ポイントは下着ごしに透けて見えると言う点でした。そのために下着が普通2枚重ねになっているところを外してはいたりして写したのです。

ところが、何のはずみかヘアヌードというものが堂々と出てくるようになって、ごく普通のものになった。
もちろん性器自体はもともと男女とも見るに及ぶ美的なものではないから出してませんけど。

ヌーヴォーロマンの「嫉妬」で有名なアラン・ロブ=グリエが、制作した映画がわいせつだから日本に来いというので来日した。
ジャンヌ・モローとかあちらの大物女優たちが堂々と体広げて芝居をした「ニューヨーク革命計画」とかそういう映画です。前衛映画の極地です。

この人が裁判所だったか警察署だったかに行くために電車に乗った。

周囲に座った人たちが週刊誌を広げてみている。
「あれ、おれ冗談で呼ばれたかな」と思ったと言っています。

週刊誌をひらいたすぐのところのグラヴィア写真が陰毛丸出しだったからです。

ご存じの人はあると思いますが、あちらで一般的な雑誌がそういうものを掲載することはまずない。
まして子供が見るかもしれないところには絶対に掲載しません。
こんなものを電車の中で、一目もはばからず見るんだあ、とあきれた。

何でフランスからわざわざ呼ばれたかな、と思ったようです。

結局一部カットとかマスクをかけるという打ち合わせをやったけど、この国はどういう国なんだろう、と悩んだようですね。

そういう国にあって、いまさら有害図書指定なんて何だろうと思いますね。
変な倫理観や正義感にとりつかれて、原爆の被災児童を描いた漫画を図書館から追放、だとか平気でやる人間は確かにいますが。

わいせつ系は、人間の存在や価値に切り込めるように見えますが、作者がどう思っても失敗します。

バタイユの小説で騒がれたものがありましたけど、結局性器や行為の用語を書き散らすだけであって、人間の根源に届く話に聞こえません。
心理分析はかなりやろうとしていますけど、不器用であって、読者が驚く前提で語っているだけです。
初めて読めば、その表現でびっくりしてあっといいますけど、考えたら中身ないのです。
普段日常で発言しない類の用語は、珍しいからびっくりします。それだけです。

永井荷風が書いてふすまの裏張りにしたというものがありましたけど、あれも、そういうこそこそした隠し方をしたから話題になるのであって、中身は別に珍しくもないことが美文で書かれているだけでした。
それを公表した作家が告発されて裁判所で議論になったというのは、結局、大したことのない作品に価値を付加したという話になります。
何しろ、丸谷才一だとか井上ひさしだとか吉行淳之介とか大物が次々に参考人として出てきた、顔見世興行みたいになったのです。

さてFLASHの有害図書指定ですけど、うまい顧客戦略ではないかと思いました。
これは危険だから見るな、というと中身はどうあれ、見たくなりますからね。

単純に雑誌FLASHというものがあることは知っていますが、買ってまで見ることはしない人多いはずです。
読み捨てが棚にあったらちょっと覗いて、また捨てるということをするのが普通ではないでしょうか。

でも、別に発禁ではないけど、危険物青少年有害物だといわれたらそれは宣伝です。
当局が危険視しているものは見たくなります。FLASH側では需要喚起です。

そのために1月以上待ってから宣言のようですけど、週刊誌についていた付録ではなく、増刊号です。
増刷は可能です。出版社はそういう動きをするでしょうね。
あとは古書店が、問い合わせによってものを高く売れるでしょう。

東京都だからどこまで考えているかわかりませんけど、景気浮揚策にはなるんではないでしょうか。

そういうことに今後も使われるのではないでしょうか。


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